フィールド・メトロロジー・ウエル 9142/9143/9144

• 軽量、ポータブル、高速
• –25 °C までの冷却に 15 分、660 °C への加熱に 15 分
• 白金抵抗温度計、測温抵抗体、熱電対、4 ～ 20 mA 電流を2チャンネル表示
• 確度 ± 0.01 °C
• 自動化およびドキュメンテーション機能内蔵
• 確度、安定度、均一度、負荷効果で温度標準器のパフォーマンス

作業効率アップ

フィールド・メトロロジー・ウエルは、4-20 mA トランスミッターの校正を行うにも、温度スイッチの校正という単純な作業を行うのにも最適なツールです。–25 °C から 660 °C の温度範囲をカバーする 3 つのモデルを利用して、様々なセンサーの温度計の校正が可能です。プロセス校正オプション付きのモデル（914X-X-P）には 2 チャンネルの温度表示器が内蔵されており、これにより、白金抵抗温度計、測温抵抗体、熱電対、トランスミッター 4-20 mA の値を計測できます。このオプションは 24 V のループ電圧供給機能を備えています。

プロセス校正モデルはどれも ITS-90の基準温度計を使用できます。内蔵の温度表示器は、測定温度に応じて ± 0.01 °C ～ ± 0.07 °C の確度です。フィールド・メトロロジー・ウエルの基準温度計が個々に持っている校正定数は、センサーのハウジング内部にあるメモリー・チップに保存されているため、センサーを交換して使用することもできます。第2チャンネルでは、2線、3線、または4線測温抵抗体、熱電対、または 4-20 mA トランスミッターの表示を選択できます。比較校正のために現場に多くの機器を持って行く必要はありません。フィールド・メトロロジー・ウエルだけで十分な温度校正が行えます。

これまで温度トランスミッターの校正は、トランスミッター部の校正は行っても、温度プローブは校正されないということがありました。しかし、温度トランスミッター・システム（4-20 mA 出力変換器＋温度プローブ）のエラーの 75 % はセンサー部分に原因があることがわかっています。そのため、変換器と温度プローブ両方を校正することが重要です。

フィールド・メトロロジー・ウエルのプロセス校正オプションなら、温度トランスミッターのループ校正を簡単に行うことができます。トランスミッターのプローブを基準温度計と一緒にウエルに挿入し、トランスミッターの出力を本体正面パネルに接続します。これで、ウエル温度を制御・測定する一方で、24 V ループ電源からトランスミッターに電力を供給しつつ電流を測定することができます。これにより、この校正ツール1台で校正前と校正後の両方のデータが測定できます。

どのフィールド・メトロロジー・ウエルでも、自動と手動の 2 種類の温度スイッチ・テスト手順プログラムが使えます。自動設定の場合は、温度スイッチの公称温度だけを入力します。入力すると、3 サイクルの温度試験を行い、デッド・バンドの温度の測定結果をディスプレイに表示します。ランプ（温度変化速度）を変える場合やサイクルを追加する場合は、手動による設定を行ってください。どちらの方法もたいへん簡単で、効率的な温度スイッチのテストを行うことができます。

高確度の温度標準器としての性能

これまでのドライウエルと異なり、フィールド・メトロロジー・ウエルは EA（European Accreditation）ガイドラインによって設けられた 6 つの重要な性能基準である確度、安定度、軸（垂直）方向均一度、放射方向（ウエル間）均一度、負荷効果、ヒステリシスを満たしています。これらの基準はどれも、正確な測定のために重要なものばかりです。フィールド・メトロロジー・ウエルの内蔵温度計の表示は、高品質でトレーサビリティの取れた認定校正済みPRTによって校正されています。標準モデル、プロセス校正モデルともに、温度勾配、負荷の影響、ヒステリシスを考慮に入れる不確かさ解析に裏付けられた IEC-17025 NVLAP 認定校正証明書が付属しています。表示確度は、9142 および 9143 は全温度レンジで ± 0.2 °C、9144 は 420 °C までは ± 0.35 °C、± 660 °C では ± 0.5 °C です。これらは 4 : 1 の不確かさの比で校正されています。

また、新しい温度制御技術により、極端な温度条件下でも優れたパフォーマンスを保証します。9142 の安定度は全レンジで ± 0.01 °C、9143 の安定度は 33 °C で ± 0.02 °C、350 °C で ± 0.03 °C です。9144 の安定度は 660 °C でも ± 0.05 °C です。しかし、これだけではありません。サーマル・ブロックの放射方向（ウエル間）均一度パフォーマンスは最高 ± 0.01 °C です。また、デュアル・ゾーン制御により 40 mm での軸方向均一度、最高 ± 0.05 °C を実現しています。

自動化とドキュメンテーション機能で現場校正の全てを管理

このシリーズは、フィールドに対応する特性、認定標準レベルの性能、内蔵の 2 チャンネル温度測定、および自動化機能など、必要な機能は全て備えています。フルークは作業の自動化と結果のドキュメンテーションを含めたトータル・ソリューションをご提案いたします。

フィールド・メトロロジー・ウエルのプロセス校正オプションは、内蔵の不揮発性メモリーにテスト結果を 20 まで保存できます。各テストには、英数字からなる個別の ID を付けることができ、ブロック温度、基準温度、被校正値、誤差、日付、時間が記録されます。Use the 1586A Super-DAQ to automate temperature sensor calibration with these Field Metrology Wells.

1-2-3 ステップの簡単な操作

フィールド・メトロロジー・ウエルの使いやすさ、操作性の良さについてご説明します。どのモデルにも、大型で見やすい液晶ディスプレイ、ファンクション・キー、メニュー・ナビゲーション・ボタンが付いています。メニュー・ナビゲーション・ボタンの中の［SET PT.］ボタンを使えば、ブロック温度の設定を簡単に行えます。いずれのモデルにも安定度表示機能があり、あらかじめ設定した温度範囲内で安定したことを視覚的、聴覚的に知らせます。プログラム済みの校正手順をメモリーに保存しておき、後で呼び出すこともできます。また、入力端子は全て、フロント・パネルに搭載されており、接続も簡単です。